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インタビュー:染谷孝先生

顔写真
所属 佐賀大学農学部生物環境科学科
職位 准教授
担当授業科目 「ヒトと環境の生物学」、「環境土壌学」 など

習得してほしい知識・技能等について

一般目標(大学憲章、アドミッション・ポリシー等の教育目標)との対応

 直接、佐賀大学憲章を意識して目標を定めているということはないのですが、多分、狙っているところはそんなに大きくは外れていないつもりです。

 要は、社会に出た時に社会人として自立して活動できる思考力、行動力、情報収集力、情報の整理をする力。それと、人とコミュニケーションをとって何か物事を進めていく。あるいは、人と円滑に社会のなかで暮らしていくと。当たり前だけど、現代社会のなかでとても重要なところを、大学1年は1年なりに、大学院生は院生なりに講義や演習などで設定してやっています。

目標を設定する際の工夫

 大学1、2年生ですと、大人と会話する能力。つまり、自分が考えていることを他人に伝達する一番基礎のところから教えてあげる必要があるんですね。これはどんな授業をやってもそうなんです。そのところのかなり基本的なところをレポートを通したり、一番いいのは授業で手を挙げて質問してくれることなんですが、今の学生はとてもシャイなのでしないので、こちらから当てて、返ってくる答に対してどうかという時に、ちゃんと社会人として会話が成り立つかということがポイントです。

学習の方法について

授業内容・学習内容の設定

専門科目なり主題科目なりの、まず知識として教えなければならないレベルを考えます。たとえば、土壌学というのは学部の専門教育で、これは国家公務員試験や県職、地方公務員試験の受験科目にも入っています。それで受験者が困らないレベルの知識というのがひとつの目安になります。最終的に学習内容のレベルをどこに設定するかというのは、いつも悩むところですが、この授業をきっちりやれば公務員試験は最低ラインは合格するよ、だけど、あとはちゃんと自分でプラスαは勉強しないとダメだよと。それがひとつのレベルですね。あとは、学問的な知的好奇心をどう加えるか、が問題です。

シラバスの記入・作成方法

シラバスには、概要と目的、日程と項目を入れています。でも、学生ってシラバス読まないんですよ。ひとつはネットでシラバスが読みにくい構造になっているんじゃないかな。冊子になっていれば、まず自分がどんなのを受けようかなという時に、ぱらぱらと見ることができますよね。でも、冊子にするとこれまた分厚くなるので、それも資源の無駄という気もします。難しいところだと思いますね。

教材(教科書、配布資料等

 資料集は学生に毎回分を渡していきます。最初にドーンじゃなくて、1回ずつ渡していくわけです。表紙も渡しておいて、最終回の時にそれを綴じて完成です。とりあえずはクリップで仮止めしておいてね、と言って。主題科目では教科書は使ってなくて、資料集が最終的には72ページ。すごいものになるんです。

自学自習(予習・復習等)をしてもらうための工夫

 たとえば、主題科目の場合、知ってほしい科学的知識というのはありますけど、ここまで教えなきゃい けないというのは、あまり明確にはないんです。むしろ、ものの考え方、環境に関する社会の仕組みと、 社会の仕組みに対する学生の理解度、そういうところが重要なんです。そういう意味では、主題科目に ついては、あまり予習とか復習とかは言いません。

 ただし、学部の専門教育になると、知識をおぼえてなんぼの世界ですから、公務員試験や就職試験の時に多少専門にかかわる質問が出たりします。ですから、演習問題をやってきなさいよと、宿題をよく出します。答は授業の途中で一部は答え合わせしますが、全部の模範解答は、最後の授業のときに出すんです。それで期末試験に備えなさいと。最初から渡すと、自分で考えるトレーニングにならなくて、全然意味がなくなってしまうので。

成績評価の方法について

基準の設定の仕方(1)(出席、入退出、受講態度、小レポート、定期試験、レポート等)

基本的にはほぼシラバスと同じものをプリントにして、授業の一番最初に渡して、日程、授業の目的、 参考図書、受講のルールだとかを示します。主題科目では、評価は毎回のミニレポート、1回の期末 レポート、および出席で評価しています。5回の欠席で単位は出ませんとか、はっきり言っています。あ と、授業開始10分以後の遅刻は認めません。いわゆる公休何かの大会に出ましたとか、そういうのも 欠席は欠席なので、この5回のルールに入るんだよと明記しています。ただし、サボってはいないんだ から、それは成績評価で考えると言っています。

習得してほしい知識・技能等の習得状況を評価する方法

 専門科目では、プリントの中に演習問題というのを入れています。ここがばっちりできれば公務員試 験が6割はできますよという感じです。この演習問題がそれぞれの単元が終わるごとに1ページか2ペ ージあります。そうしたら、次の授業の最初の時に当てて、まず設問を読ませます。そうすると、漢字を 読めないというのがいっぱい出てきます。専門用語だとなおのこと読めません。そこで、こう読むんだよ と指導してから、答えさせていきます。授業時間中に全てはできませんから、残りは復習として自分で やりなさいという感じですね。ここまでやってくると学生の理解度がだいたいわかります。そうしたら、それ を次の授業に反映させます。

授業改善の方法について

授業改善にどう取り組んでいるか

 授業という枠のなかで、どれだけ実物を見たり、実物に触ったりできるかというのが重要ですね。もちろん、毎回パワーポイントで映像とかビデオを見せますが、それはスクリーンの上のことですから、実感するのに限界がある。だから毎年、試行錯誤です。主題科目のなかで水の問題を扱った単元があって、飲み水からみた水質汚染というテーマで、河川の水質汚濁や発がん物質、農薬、水道水質基準などを教え、これを簡易分析キットを使って学生に実際に測定させるんです。そこまでやると、実際に佐賀の水がどうかということまで出ますので、こっちもやっていて面白いし、学生も大変興味を持つようになります。

課題

学生の動態(学力や素行等)

 佐賀大学の学生はシャイでものおじする傾向があります。また、それはもう経験値が低いですから、絵を見せても写真を見せても実感がわかないということが厳然としてあります。これはやむを得ないですね。難しいところだなあ。でも、素直という長所があります。こういうところ、学問的に面白いよね、と説明すると、ちゃんと理解してどんどん積極的に勉強してくれるようになります。

カリキュラムのあり方(学部・学科等)

 たとえば、学生実験のカリキュラムなど、複数の教員が共同して立てている授業科目があります。これが整合性とか統一性というものに非常に欠けている場合が多いわけです。教員が1〜2コマそれぞれ担当して、5〜10人の教員が集まってひとつの科目を持ってるという場合です。そうすると、教員の間の連携が足りなくて、与えられた時間に自分の好きな話や実験をしておしまい、というやり方が、今まで非常に根強かったです。それが法人化した後は、見直しましょうということになってきたのは、非常にいいことだと思います。

施設・設備

 まず、教養教育の施設は大変プアーなんで改善してほしいと思います。大講義室にはクーラーがついてないでしょう。たまたま今は後学期に使用しているので、問題ないけど、たまに前学期の夏の暑い盛りに使うことがあります。それで映像を使うためにブラインドを降ろしたら、学生は暑くてみんな寝ちゃうんですよ。だから、冷房という最低限の設備は整っていて当然だと思うので、そこは考えていただきたい。液晶プロジェクターなどの視聴覚教材は整備していただいたので、5年くらい前から比べたら格段良くなりました。

 それと、学生のコミュニティースペース、授業が終わってから学生がちょっとお話をしたり自習したりするような空間は、学部でも教養教育でも整備されてきていますが、そこに空調が入っていません。そうすると、春と秋にしか学生は利用できないわけで、暑い時、寒い時には学生はさっぱりいません。今の時代は国立大学といえども、そういう学生のスペースは快適に整えてあって当然と思います。

佐賀大学高等教育開発センター
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